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きょうだい児の結婚と婚活

きょうだい児の婚活

結婚相談NPOの影山です。
皆さんは「きょうだい児」という言葉はご存知でしょうか?

私は実際にきょうだい児の会員さんに教えていただいてから「このような悩みがあるのか」と注目をしています。

きょうだい児とは?

「きょうだい児」とは、重い障害や病気を抱える兄弟姉妹が居る人の事を言い、性別の組み合わせがある為、あえて平仮名での表記とされています。

親が重度障害者である子供をサポートする事が近頃「老障介護(ろうしょうかいご)」と言われていますが、親が亡くなった時にその介護をする役目が自身に回って来るであろう事を想像すると「きょうだい児」の方々からはライフプランが立てにくいというご相談をいただきます。

きょうだい児

実際、婚活の現場はシビアですので、例えば、ある程度の年齢になると、独身の「兄弟姉妹」が居るだけでも、お見合い申込数などに多少ならず影響が出る印象があります。

それが重度障害者の場合は「相手に伝えられない」という心理が働くのは自然な事でしょう。

また、結婚後、きょうだいから離れる訳にもいかないので、婚活のエリアを限定せざるを得ない。遺伝性の障害で、自身も軽度ではあるが障害を抱えているというケースもありました。

きょうだい児に関するレポート

まだまだ知名度も低い「きょうだい児」ですが、幾つか当事者アンケートの結果が公表されています。中でも結婚について参考になるのが、<全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会(略称:全国きょうだいの会)>さんによる「障がいのある人のきょうだいに関するアンケート」です。

障がいのある人のきょうだいに関するアンケート(2021 年度版)

全国きょうだいの会さんは1963年に結成された老舗団体だけあり、このアンケートではそれぞれの立場における悩み等が簡潔にまとめられています。

まず「きょうだい」が持つ大きな課題として「精神的な不安感、自分の人生を自分で決められないこと(進路、居住地など)、結婚、親亡き後(親が障がいのきょうだいの世話ができなくなった時)」が挙げられていて、結婚においては「結婚の機会がある時に、相手が、障がいのきょうだいがいることで難色を示すことがあります。相手が理解してくれても、相手の家族が理解してくれない場合もあります。」とありました。

また、アンケート内ではきょうだい児ならではの悩みが多く語られていましたが、過半数が障がいのあるきょうだいを「好き」と答えています。当然ですが少しでも厄介者扱いしてくるようなお相手は不向きと言えるでしょう。

結婚の状況については、既婚者が55%に対して未婚者が41%。特に男性は国民全体の平均よりも未婚率が高いそうです。
また、結婚の意思は62%があると答えていて、これも全国平均よりも高いとされています。家族の支え合いの大切さを身にしみて感じていらっしゃるのかもしれません。

中でも私が注目したのが、結婚未経験者に対する「結婚する時の心配」アンケートです。

参照:障がいのある人のきょうだいに関するアンケート(全国障害者とともに歩む兄弟姉妹の会)

この心配に大きく関係して来る「障がいのきょうだいがいる事をパートナーに打ち明けるタイミング」ですが、47人のうち、付き合い初めに打ち明けるつもりの方が17人、途中が26人、結婚を決める時が0人でした。

これはあくまでも意思の話しなので、実際に伝えられるかは別なのですが、個人的には「結婚を決める時」が0名だったのは意外で、早め早めに伝えようとする傾向にあると感じました。

その他、自由記述欄の回答に「結婚についての悩み・消極的な考え、理解されない心配・経験、家庭を持つことへの消極さ、自分への自信のなさ」などがありましたので、一部を転載させていただきます。

自由記述欄の回答
  • 交際を考えると“結婚”が横切り「ムリだな‥」と考えるクセがついた気がします。相手には大したことではなくても受け入れられない、となるとショックが大きすぎます。
  • 幸せにできないと考えてしまう。
  • 結婚することになった時、このことが原因でやめることになりました。
  • 婚活の際に相手側から「僕の親族には一人も障がい者はいない」と言われてダメになった。
  • 相手の親族に反対されてあきらめた。なかなか立ち直ることができなかった。
  • 自分までも責任を負わなければならないのでは?という誤解が多く、なかなか理解してもらえない。
  • 相手に伝えないことはうそをついているようで罪悪感を強く感じた。伝えることで突き放される不安も強く、実際に伝えたがタイミングや自分の後向きな気持ちに対し受け入れられなかった。トラウマになっている。
  • 結婚を決める時では詐欺に近い気がしてしまうので、友人の時に言っておく。しかし遺伝の心配もあり、子供は望んでおらず、相手の両親から理解されないことが多い。
  • 自分が普通の家庭環境ではなかったという意識があるので、そもそも温かい家庭を築くイメージがわかない。

実はきょうだい児は数百万人規模で存在すると言われていますので、婚活のお相手がきょうだい児である可能性は念頭において活動すべきだと思われます。

きょうだい児の方は思いやりのある方が多いという意見もあります。

今回ご紹介させていただいた「障がいのある人のきょうだいに関するアンケート」では、まだまだ知られていない「きょうだい児」についての活きた情報が得られるので、一読をお勧めします。

財団法人国際障害者年記念ナイスハート基金さんによる『障害のある人のきょうだいへの調査報告書』もお勧めです。

きょうだい児の婚活について

レポートで「きょうだい児」が婚活に影響する事は想像ができたのではないでしょうか?

まずは、きょうだい児の存在を告知するタイミングについて考えましょう。
婚活において、告知のタイミングは以下の4つに分けられます。

  1. プロフィール段階:同じシステムを使っている全員に事前告知
  2. お見合い:お見合いをしてくれた相手にだけ告知
  3. 交際中:お見合いの後、交際ステータスに至った相手に告知
  4. 真剣交際のタイミング:交際相手を一人に絞った時に告知

これは障がいの告知と似ている部分がありますが、大前提としてルール的にはプロフィールの段階で、きょうだい児の存在を告知する必要はありません。

必要はありませんが、交際を進める中ではやはり告知する事が望ましいでしょう。
ここで、きょうだい児の方に意識していただきたいのは、お見合いを実施する際、お相手はお見合い費を払っている可能性が高いという事です。当日の費用なども考えると、そのお見合いに1万円位をかけている可能性があります。
障害でもあるのですが、このお見合い時以降の告知ではクレームが入る事がある事はご認識ください。※クレームは我々仲人がクッションになって対応します。

アンケートに「相手に伝えないことはうそをついているようで罪悪感を強く感じた。」という回答がありましたが、相手方の費用を考えるとクレームが入るのも致し方ないとも思います。それを承知の上で婚活するのが、きょうだい児の悩ましい所なのでしょう。

とはいえ当事者の話しでは無いので行ったり来たりしますが、個人的には交際の初期段階で伝えるのが良いのではないかと思っています。ただし、これは婚活あるあるですが、ここまで進むと今度は「言えなくなってしまう」という問題が出てきます。

ですので、

ご本人の資質として、交際のタイミングで伝える自信があるか?

そして、告知の段階でそれを理由に交際終了を告げられる可能性はそれなりにあるので、この時にどの程度、ショックを受けそうか?

で「やはり事前に告知しておくべきか?」を判断材料にするのがよろしいかと思います。

きょうだい児

プロフィール段階で告知をするとしたら、家族欄の備考欄に書くか、自己PR欄の末尾に書く事になるでしょう。

この時、注意しないといけない事があります。
それは同じくプロフィールの段階である程度の想定問答に答えておく事です。

  • 費用負担はどの程度生じるのか?
  • どういったサポートが必要なのか?
  • 自治体等のサポート制度などにはどのようなものがあるのか?
  • パートナーに協力を求めるのか?

このような質問が想定されます。全てに答える必要はありませんが、ようするに「ちゃんと将来の事を考えている」アピールをしなくてはなりません。

例えば「将来的には近所で見守ってあげたいと考えていますが、自治体のサポートがあるのでパートナーへの負担はほぼ抑えられると思います。もし、あなたもきょうだい児であるならば、お互いの家族の事を考えて落しどころを見つけましょう。」

といった感じです。これからの時代、婚活システムで「きょうだい児」というキーワードでお相手を探す人が出てくるかもしれません。「きょうだい児」というワードをプロフィール文に入れておくのは、理解者を探すポイントにもなるでしょう。

ここで余談ですが、結婚相談所のシステムの中にはプロフィールに「事前確認事項」を設定する事ができる場合があります。(我々ブライダルサポーターが加盟するIBJのシステムは可能)
内部情報になりますのでシステム詳細についてはご説明できませんが、ある「きょうだい児」の方がこのシステムを使ってお見合い相手に「障害のあるきょうだい児の存在」を告知していたケースを見たことがあります。この設定、実際にはネガティブな影響も有るので、私は普段、使用を非推奨としているのですが、場合によっては有りかもしれません。

そして、もう一つ、こちらが悩ましいのですが、親の介護の可能性についても考えておかなければなりません。

こっそり婚活したいというのが本音かもしれませんが、事前に親の介護も含めた家族会議をお勧めします。

会議の話題は少し生々しい、お金の話しや、将来、きょうだいの事をどうしようとしているか?などです。ひょっとしたら、既に対策を講じてくれているかもしれませんし、そうでなくても対策を考え始める良い切っ掛けにはなるでしょう。

いずれにせよ、きょうだい児の方は、なかなか積極的に婚活はしにくいかもしれません。
そういった時は、あくまで補助的な物にはなりますが、当方の無料会員制度「結と結」に登録をしておいて、活動の目処が立ったら、ブライダルサポーターを使って本格的にご検討をいただければ幸いです。

結と結

無料会員制度中に成婚出来たら儲けものと考えましょう。

これまで何度か知的障害者の親御様から婚活のご相談をいただいていますが、その時の希望条件として多かったのが「お金は出すから近所に住んで欲しい」でした。

似た部分がありますので、近所のきょうだい児同士の結婚は、有りだと思います。

その為には、結と結の登録者数が必要になりますので、皆様も登録者増にご協力いただけますと幸いです。

無料会員制度「結と結(ユイとムスブ)」

結婚相談NPOがお送りする無料会員制度「結と結(ユイとムスブ)」は、将来への不安や様々な事情により「なかなか婚活への一歩が踏み出せない方」に向けて開始致しました。

他社の恋活アプリなどをご利用中の方もご参加いただけます。登録時点での必要書類等もございませんので、お気軽にご登録ください。

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